文化・風習の違い


 日本という一つの国を見ても、地方によって実に様々な文化があります。青森県出身の友人が、夜寝る時にパジャマなど着て寝たことがない、という話をしてくれて、私は大変驚いたことがあります。彼女の話によると、裸で寝た方が温かいので家族みんな裸になって布団に入るのだそうです。

アメリカのカリフォルニア州の話ですと、北部にあるサンフランシスコに住む人が、南カリフォルニアの人間とはどうも話が合わない、などと言っていたりします。ですから、私たちが「アメリカ人ってフレンドリーだよね」と言ったりしているのは、あまりに大雑把な捉え方なのです。それは、まるで欧米人が、「日本人と韓国人は同じような言葉を話してるよね」と言っているような、的外れな認識なのです。

 また、その地域特有の文化・風習だけではなく、それぞれの家庭のレベルで考えると、それはもう、様々、としか言いようがありません。例えば、宗教や職業の違いによって、日常生活自体は大きく異なります。

 国際結婚の夫婦の場合は、それぞれの文化・風習の違いは必ずあるので、避けては通れません。以前に飛行機で隣になった日本人女性は、イスラム教徒になってパキスタン籍の男性と結婚をしました。二人の間に子供が生まれたのですが、彼女は離婚を考えている、と話してくれました。話をしていて「なるほど」と思ったのは、子供が今まで箸はもちろんのこと、スプーンやフォークを使ったことがないので、日本に子供と帰ってくるなら食事のマナーを教えないといけない、と言っていたことでした。

 日本では、手を使って食事をするのは大変お行儀が悪いことになってしまいます。「親の反対も押し切ってした結婚だったから、日本に帰っても実家には帰れないわ」と不安そうな彼女でしたが、今はどこかで幸せに子育てされてるのでしょうか。

 私たち夫婦の場合、まず衝突したのは皿洗いのことでした。イギリスでは、多くの人が、洗剤の水を貯めた桶の中でこちょこちょこすったお皿を、水で漱がずに、洗剤の泡がしたたる状態で乾かして終り、ということにしています。そんな洗い方は、私にとっては信じ難かったので、主人にはどうしても水できちんと漱いでもらうようにしました。問題は、彼の実家に行った時です。食事の前に自分の皿だけ洗いなおす、なんて真似はできませんでした。数日は我慢しましたが、とうとう彼に頼んで洗ってもらうようにしました。気づかない訳はない彼の家族は、きっといい気持ちはしなかったと思います。

 それから主人にとってクリスマスは重要な日だということに、びっくりしました。プレゼントの準備から食事まで、毎年大騒ぎです。その代わりに、私の実家の法事には、彼も動員されててんやわんやしているので、お互い様でしょうか。

 国際結婚に限らず、様々なパターンの結婚生活において、二人それぞれの「常識」に違う点が見つかった時、それをお互いに面白いと思えるなら幸せです。もしもその差異が、どうしても受け入れられなかったとすると、それは夫婦にとって大問題になってしまいます。国際結婚をする時は、生活の中で出会う異文化を肯定的に受け止める努力が必要といえます。けれども私自身の経験を振り返ってみると、相手の奇異にみえる「異文化」をついつい見下してしまっているように思えます。せっかくの国際結婚なのですから、二つの文化を融合させた豊かな家庭づくりを目指したいものです。
 
 


次の記事→食事の違い

サイトMENU

Copyright (C) 2007 国際結婚の知識と体験談. All Rights Reserved.