国際結婚の際には、二人の国籍のある両国の婚姻法に従って婚姻手続きをする必要があります。おおまかには二通りの方法があります。日本で手続きをしてから相手の国へ報告をする方法と、相手の国で手続きをしてから日本へ報告する方法です。
日本での婚姻届は、市区町村役場の戸籍係に届け出ます。必要な書類は以下の通りです。
1.婚姻届用紙
2.戸籍謄本(日本籍側が、本籍地以外の市区町村へ届け出る場合)
3.外国籍側の婚姻用件具備証明書と訳文
4.外国籍側のパスポートなど、国籍を証明するもの
5.その他、ケースによっては外国人登録証や出生証明書を要求される場合もあります。
3.の婚姻用件具備証明書とは、外国籍の相手がその所属する国の法律において、結婚する資格があることを証明するものです。これは、在日大使館・領事館で発行してもらえます。けれども国によっては婚姻用件具備証明書を発行しない国もありますので、届出をする市区町村へ相談をして、代わりとなる書類を作成します。
日本側への婚姻届が受理された後、婚姻受理証明書を発行してもらいます。この証明書は、在日大使館・領事館へ提出する書類として必要となります。また、婚姻の成立後は外国籍側の日本における在留資格を「日本人の配偶者としての在留資格」へ変更できます。
婚姻届が受理されると、新しい戸籍が作成されますが、戸籍の筆頭者になるのは日本籍の方です。また、戸籍謄本の「夫」または「妻」の欄には外国人配偶者の名前は記載されず、上段の条項欄に婚姻している旨が記載され、その中に相手の国籍、氏名、生年月日など含まれます。
市区町村役場へ婚姻届を提出する際に、姓の変更を希望する場合には同時に届け出をすることができます。婚姻届を提出してから半年を過ぎると、姓の変更をするためには家庭裁判所の許可が必要となりますので面倒な手続きとなります。
もし、結婚する相手が日本国内に滞在していてオーバーステイとなってしまっている場合であっても、婚姻手続きは可能です。その際は法務大臣へ在留特別許可を申請する必要があります。
さて、もう一つの婚姻届の出し方として、外交婚と呼ばれる方法があります。これは、相手の国の在日大使館・領事館で結婚手続きをしてから日本側へ報告をする、という形式のものです。この場合は、在日大使館・領事館で発行してもらった結婚証明書(必ず翻訳文が必要となります)をその他の書類と共に日本の役所へ提出します。また期間は3ヶ月以内となっています。こういった外交婚を希望する場合は、在日大使館・領事館へその旨の問い合わせをした方がいいでしょう。それぞれの国によって外交婚を受け付ける条件があるからです。また、中国籍の相手との婚姻の場合は、こちらの外交婚の方がスムーズにいく、といったような体験談も多くあります。
婚姻届が両国で受理され、婚姻が成立したからといって自動的に外国籍の相手が日本で暮らせるようになるわけではありません。日本で一緒に生活をするためには、日本の配偶者のためのビザ申請を入国管理局に対してする必要があります。ビザ申請に対して許可が下りれば、日本で生活ができます。ただし注意しなくてはならないのは、ビザは永久のものではなく期限があるものだ、という点です。期限を覚えておいて、期限日を過ぎる前にビザの更新をしなくてはなりません。もしも更新を怠ってしまうと、オーバーステイとなってしまい、日本での滞在自体が違法となってしまいます。
また、配偶者ビザを利用して不法労働する者を防ぐために入国管理局はその結婚が真実のものなのかを審査します。その際に、結婚までに至った経緯などを聞かれることがありますが、全て正直に報告することが大切です。どのような出会いであったにしても、差別的な待遇を審査官から受けることは有り得ませんし、あってはならないことです。