それぞれの人種には、偏見がつきまとっています。例えば「日本人女性」=男に尽くして従順。家事をこなし、子育てにも熱心。 「黒人男性」=性的に活発。情が厚い。「東南アジアの女性」=女性らしいかわいらしさと家庭的な面とを持ち合わせる。「欧米系白人男性」=女性を大切に扱い、レディーファーストを忘れない。などなど。もちろん中にはこういったステレオタイプが当てはまっている人もいるでしょう。けれども、日本人女性を見てみても、今の若い世代の中で男に従わなければ、などと考えている女性は少数派です。同様に、黒人男性でもセックスにあまり関心のない人はたくさんいますし、家庭内暴力で女性を虐げる白人男性だってたくさんいます。
そんなことは分かってはいても、日本人女性は欧米の男性なら優しくしてくれると思っているし、フィリピンパブに行けば日本人男性は癒されたりしています。出会いのきっかけとして、人種偏見が先にあり、よく知るうちに「やっぱり違った」と思うこともあるでしょうし、「やっぱりいいな」と思うこともあるでしょう。年齢差と同様に、人種の違いなど、恋愛をしている二人には関係のないものになってきます。始めにあった人種偏見はいつのまにか消えてしまい、二人の人間でしかなくなるのです。 とは言っても、周囲の反応はまだまだ偏見に満ちているというのが現実です。おおまかに言ってしまえば、男性と女性の出身国を比較して、男性の出身国の方が経済的、政治的に優位にあるパターンであれば、周囲も国際結婚といってもある程度安心して受け入れられたりします。たとえば日本人女性が貧しいアジアの農村の男性と結婚する場合と、日本人男性が同じアジアの農村の女性と結婚する場合の二つのケースを想定してみますと、前者の方が後者より世間の風当たりは強いでしょう。
さて、日本から離れて違う国での国際結婚のケースを見てみましょう。欧米でよくあるパターンは、白人男性と東洋人女性のカップルです。また、日本から見れば「白人」と一まとめにしてしまっていますが、ロシアや東欧諸国出身の女性と、アメリカやイギリスなどに住む男性とのお見合いは盛んです。この状況は、日本人男性と中国人女性、フィリピン人女性とのお見合いに似ています。また、黒人男性と白人女性の組み合わせも多いのですが、アメリカやヨーロッパの保守的な地域では、激しい反感をもつ白人社会もあります。血が混ざることに対する激しい憎悪のようなものもあり、時々暴力的な事件が起こったりしています。
国際結婚は日本人同士の結婚よりも、社会や家族との関係が難しくなる要素がたくさんあります。もちろん何の問題もなく暮らしている国際結婚のケースもたくさんありますが、相手の人種、国籍、宗教などによっては、理不尽な偏見を経験することもあるでしょう。国際結婚をすると、それ以前とは違い、カップルの存在自体が社会的な意味を持ち始めるのです。もしも否定的なプレッシャーを周囲から受けるようであれば、その事が夫婦関係に悪影響を及ぼす前に、公的な窓口や国際交流の団体などに相談をすることが重要です。嫌がらせ、暴力などがあれば、警察へも同時に知らせておきます。社会の偏見をなくすことができればベストですが、それにはただならぬパワーと時間が必要となります。安全な家庭のためには自分たちを受け入れてくれる社会を選ぶこともできるんだ、という選択肢も念頭に入れておくことも大切です。例えば、転職、転校、引越しなどで状況が改善されるようであれば、思い切って踏み切るべきでしょう。プレッシャーやストレスで家庭が壊れてしまったり、病気になってしまったりしては、本末転倒です。